熊本 竜太
TKUアナウンサー 熊本 竜太 Ryota Kumamoto

10月に思ふ。

私が報道の現場に飛び出したのはいつぞやの10月1日。
1年たった10月1日には「現場回って1年経ったなぁ」と
一人感慨深くもないささやかな満足感をかみしめたものです。
しかし5年が過ぎ、6年が過ぎ…
10月を意識することは無くなりました。

でも10月はやっぱりスタートの月。初心に帰るべき月。

たまに読み返すメモがあります。
それは記者1年目が過ぎた頃に受けた警察担当記者研修。
中継でしか言葉を交わすことがなかった
安藤優子キャスターにビシッと叩き込まれた教えのメモ。

「リポートはカッコをつけるものではない。
でもカッコつけたくなるのが人情。
肝心なのはカッコつけないこと。
体裁を整えようとすると、何を伝えるのかではなく、
『自分がどう映るのか』になってしまう。
『自分がどう映るか』を気にしてしまう。
『自分がどう見えたいか』となると、

リポートは空疎なものになってしまう。

『私にはどう見えたいか』となってしまうんです。
現場で今、何を伝えようとしているのか、
何を伝えるべきかという原点に返るべき」

突発の現場でそこそこリポート数をこなし、
中継にもどことなく慣れてきたペーペーに刺さった言葉です。
ガーンですよ。その衝撃。
そしてもうひとつ、「安藤さんは現場の私たちが答えにくい
質問をされますが…なぜですか?」と尋ねると

「なぜ現場の記者に問いかけるのかというと、
原稿などの一次情報で私は知っていることがありますが、
視聴者は知らないことがあるからです。
そのリポートで視聴者が理解できるのかと思うことがあるから。
だから現場に聞く。その原稿、そのリポートでわかるのか?

私の聞いたことが分からなかったら、
ほかのことを喋る方法だってあるんです。
リポートに対する突っ込みは、たとえば

・発生間もなければ雑感・事案の構図・時間帯がどうなのかなど。
・基本的な現場のデータ(地理や現場の土地鑑)
・現場付近のランドマーク、位置関係(全国の人へ伝えるため)は基本。

視聴者と一緒に動く感覚で。画面は生きている、息をしている。
だから映像に現場の空気感を。それが視聴者に伝わるから」

ガツン!ガツン!の衝撃でしたが、実はこれ以後、熊本発生の
中継では安藤さんの容赦ない掛け合いが増えた…のは本当です。
それだけ心して準備をして中継に臨めという教え。

通常は「スタジオとの掛け合い」と言われますが、
系列記者の中ではこれを「安藤ラリー」と呼んでいます。
どんな問いかけが飛んできても、落ち着いて返す。

懐かしいメモですが、今も大事なバイブルです。

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写真=まだ初々しいころの熊本です。

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