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「無痛分娩(1)(7月23日に放送したものです)」
無痛分娩とは、麻酔を使うことによって、分娩時の痛みを緩和するお産の方法です。
アメリカやフランスでは、7割以上の妊婦さんが無痛分娩で出産しています。
無痛分娩は、無痛とはいいますが、全く痛みを感じないわけではありません。分娩時の痛みの大半を占める陣痛は、赤ちゃんを外に出すために起こる周期的な子宮収縮のことで、
お母さんが赤ちゃんを体の中から押し出す、いきむ力が合わさり、赤ちゃんが生まれます。
無痛分娩は、麻酔を使う以外は通常のお産と同じなので、陣痛に合わせて いきむことができるよう、全体の2、3割の痛みに抑えることが理想とされています。
日本をはじめ、多くの国で行われている無痛分娩の鎮痛方法は、『硬膜外麻酔』を基本としたもので、下半身の痛みだけをとる方法です。
硬膜外麻酔は、脊髄をおおっている硬膜という膜の外側の硬膜外腔に、細くて柔らかいカテーテルを挿入し、局所麻酔薬を入れて痛みを和らげます。
局所麻酔なので、意識は はっきりとしていて、赤ちゃんが生まれてすぐに抱っこすることもできます。
無痛分娩のメリットとしては、陣痛や分娩中の痛みが軽減され リラックスしてお産に臨めること、疲労が少なく 産後の回復が早いこと、産後うつの発症が少なくなることなど。
デメリットとしては、麻酔の副作用で感覚・筋力が低下し、お産の進みが遅くなり、陣痛促進剤などの産科的な医療介入の頻度が高くなること、大変まれではありますが、重症の麻酔合併症を引き起こす可能性、合併症の予防・早期発見のため、モニター装着や点滴などの処置、絶食、ベッドで安静にしておくなどの行動制限があることです。