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重い病と向き合いながらビーチサッカーを続ける中原勇貴選手(熊本)

重い病と向き合いながらビーチサッカーを続ける一人の選手。
手術や放射線治療を乗り越え、元の力を取り戻そうと日々トレーニングを重ねています。目標とする、チームの全国優勝に向け人生をかけてプレーする姿を追いました。

【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
「『ビーチサッカー』といえばアクロバチックなプレーや、大会でも開場で音楽が流れていたり観客も見ていて楽しいですしプレーヤーも気持ちが躍るようなスポーツです」

砂浜の上で試合をするビーチサッカーのプロチーム『アヴェルダージ熊本』。

【現役の日本代表も在籍】
熊本のチームとして初の全国大会優勝を目指しています。
【練習SE】
「いいぞ勇貴、よ~し!」

【熊本国府高校出身】
ことし30歳の中原勇貴選手はビーチサッカーの元日本代表。

長く東京を拠点にプレーしていましたが、「ふるさとのチームで日本一になりたい」と熊本に戻り、去年アヴェルダージに加入しました。
【アヴェルダージ熊本 坂田淳監督】
「足元の技術がすごく高くてドリブルもそうですし、(味方を生かす)パスの出し手にもなれるので、そういった部分でチームとして大事な選手です」

熊本からの全国優勝を目指し走り始めた中原選手に試練が襲いかかったのはことし2月のことでした。

【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
「練習中に息が上がることが多かったりとか」「急に頭痛がガッてきたんで」「検査して、そしたら『脳腫瘍』がそこで初めて見つかってびっくりしましたね」
【腫瘍のMRI写真】
下された診断は『脳腫瘍』。「グリオーマ」と呼ばれる4センチほどの悪性腫瘍が
左脳にできていました。

そこは脳の中でも神経が集中する部分。
主治医からは「たとえ手術で全摘出できたとしても言語や記憶、右半身の運動機能に障がいが残る可能性が高い」と告げられました。

【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
「一番は『ビーチサッカーを続けていきたい』っていう思いがものすごく強かった」

中原選手の選択は、運動機能を残すため腫瘍を取れるだけ取るという手術方法。
患部を100%摘出する手術より再発のリスクも高まりますが、迷いはありませんでした。

「合計12時間の手術なんですけど意識がある状態で(頭を開けて)脳の腫瘍を取っていく。このときに(腫瘍を)取りながらしゃべれてるかとか手足がちゃんと動いてるかっていうのを確認しながらする手術で」「ものすごいきつくて痛くて。正直(手術中ずっと)泣いてましたし」

手術を乗り越え、中原選手は5カ月ぶりにピッチへ帰ってきました。
仲間とともにボールを蹴り再び日本一を目指す喜びをかみしめます。
ただ、放射線治療や抗がん剤の影響もあり、まだベストコンディションには届きません。

【車窓】
「ビーチサッカーをしている以上、代表選手にもなりたいし、日本を背負って(W杯で)世界一を取りたいという思いが強い」
【ゼビオ 光の森店】
勤務先のスポーツショップにも復帰し、一歩一歩元の生活を取り戻そうと努力しています。

【熊本機能病院 熊本市北区】
ブランクで落ちた体力を何とか取り戻すため。
中原選手は週に1回、パーソナルトレーナーとともに厳しく自分を追い込んでいます。
【体幹トレする中原選手SE】
「くぅ~っ!はぁ~」

【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
「いつまでビーチサッカーができるか分からない状況になったので、一日一日を大事にしないといけないですし」「いまは全国大会で日本一を取るっていう目標のために毎日やってる感じです」

【KYFA第13回 九州ビーチサッカーリーグ2021】
今月7日、全国大会出場をかけた九州大会が開かれました。
【試合時間は12分×3ピリオド】
【プレーヤーはGK含む5人】
【選手交代は自由】

優勝候補のアヴェルダージですが、準決勝で大苦戦。
沖縄の強豪ソーマプライアに立て続けにゴールを決められ、3点差をつけられます。中原選手も必死にプレーしますが、徐々に息が上がり始め、全国大会への切符に暗雲が立ち込めます。
それでも大津高校出身の岩崎。
同じく大津高校出身、キャプテン松岡のゴールで食い下がると。
【オーバーヘッドのクロスからダイビングヘッドで失点】

激しい点の取り合いを制し5対4の逆転勝ち。
仲間たちのゴールが中原選手を決勝に導きます。

【アヴェルダージ熊本 坂田淳監督】
「優勝して、俺たちがカップを掲げる姿。必ずそれをつかむぞ」

決勝の相手はラソアペーゴ北九州。九州エリア屈指の実力を持つチームです。
【BGMとスーパーで】
【決勝 VSラソアペーゴ北九州】
【木船のゴールで先制】
【北九州の逆襲】
【一進一退の攻防】
【アヴェルダージ熊本 坂田淳監督】
「(ボールを)動かしながら丁寧に丁寧に繰り返し走らせていい状態を作る」

均衡を破ったのは中原選手の決定的なラストパスでした

【復活のラストパス】
アシストを決め、真っ先に向かったのは幼なじみの坂田監督のもとでした。

【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
「昔からの仲というのもあって監督ですけど本当に兄弟みたいな感じ、兄貴なんで」「『ここまで戻れたよ』というのを証明するために監督のところにいきました」
【アヴェルダージ熊本 坂田淳監督】
「言葉に表せないうれしさとこみ上げる感じが。グッとこらえたところはあったんですけどすごくうれしかったです」

中原選手のアシストで流れを引き寄せたアヴェルダージ熊本はゴールを量産。
7対1の大差で優勝を飾り全国大会への切符をその手につかみました。

【中原選手の母・美代子さん 涙ながらに感想】
「今までは(元気なプレーが)当たり前だったんだけど、(病気を乗り越えて)ここまでできるようになったのがうれしい」
【アヴェルダージ熊本 中原勇貴選手】
(仲間と勝ち取った勝利の味は?)「最高です」「(ビーチサッカーは)自分の命の一部ですし、それを軸に生活してきたのでこれからも力を入れて人生をかけて
やっていきたいと思います」

仲間のため、家族のため、そして自分自身の未来をもう一度切り開くため。

中原選手とアヴェルダージ熊本が日本一をかけて挑むビーチサッカー全国大会は、
11月27日、東京・立川市でキックオフです。

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