半世紀前から水俣病認定求める男性(59)熊本県を提訴
水俣病の患者認定をめぐり新たな裁判です。
熊本県に対し、半世紀前から患者認定を求めている水俣市出身の男性(59)が県に棄却処分の取り消しと患者認定の義務付けを求める裁判を18日、熊本地裁に起こしました。
【大戸迫 智 さん】
「震えがしたり、頭痛がしたりする。水俣病というのはきつい」
訴えを起こしたのは、水俣市出身で宇城市在住の大戸迫 智さん(59)です。
訴状などによりますと、大戸迫さんは1965年、公害健康被害補償法、いわゆる『公健法』における水俣病の指定地域に生まれました。
脳性まひや歩行障害、知的障害などがあり、10歳と42歳のときに、熊本県に水俣病の認定申請をしましたが、いずれも棄却され、現在、3回目の認定申請をしています。
大戸迫さんは「妊娠中の母親が、水俣周辺でとれたメチル水銀に汚染された魚介類を多く食べていて、自身は水俣病の胎児性患者である」と主張。県に対し、棄却処分の取り消しと患者認定の義務付けを求めています。
【大戸迫 智 さん】
「水俣病と認めてもらいたいけど、なかなか認めてもらえない。自殺をしようと思ったこともある。頭痛がひどく、薬を飲んでも全然治らない」
【姉・坂本 みゆき さん】
「3回目(の審査結果)を待とうかなとも思ったけど、1回目が20年かかっている。2回目も8年かかっている。途中で審査会が止まったりして…。3回目も分からない。『私が死ぬのを待っているのかな』と思ってしまう。『弾かれ政策』とよくいわれるが、年をとってしまうなぁと思ったときに裁判をやってみようかなと」
今回の提訴について熊本県はTKUの取材に、「訴状が届いていないのでコメントを差し控える」としています。