陸自パワハラ自殺 控訴審判決 国に約6700万円支払い命じる【熊本】
陸上自衛隊に所属していた男性が自殺したのは当時の教官のパワハラが原因として遺族が国などに損害賠償を求めた控訴審の判決です。
福岡高裁は国に対し約6700万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、2015年に陸上自衛隊第5陸曹教育隊の男性自衛官が自殺し、遺族が「原因は当時の教官2人のパワハラにある」と主張。
国などに、約8100万円の損害賠償を求めていたものです。
一審の熊本地裁は訴えの一部認め、国に220万円の支払いを命じましたが、遺族はこの判決を不服として控訴していました。
2日の控訴審判決で、福岡高裁の新谷 晋司 裁判長は「教官2人の違法な指導が原因で男性が自殺に至ったことは予見可能だった」と指摘。
また、「指導と自殺には相当因果関係があると認められる」などとして、国に約6700万円の支払いを命じました。
判決を受け、弁護団は会見を開きました。
【板井 俊介 弁護士】
「地裁で認められなかった死亡に対する(国の)責任を真正面から認めたという意味で「逆転勝訴判決」と評価していいと思う。今、現場で苦しんでいる人たちへの
励ましにもなるし、国の上官に対する管理の在り方についても大きな影響を及ぼす(判決)」
男性の遺族は、「息子の死について国に責任があると認めたことは評価したい。しかし、教官の責任が認められなかったことは、同じようなことがまた起きるのではないかと非常に心配している」とコメントしています。
一方、陸上自衛隊は「今後の対応については判決内容を慎重に検討し、適切に対応したい」としています。