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「心待ちにした父がいない稲刈り」九州放送映像祭で準グランプリ【熊本】

九州・沖縄のテレビ局の番組制作者が集う『九州放送映像祭』が先日開かれ、5分以内の優れた作品を競うミニ番組コンテストで、TKUの作品が準グランプリを受賞しました。

熊本地震で亡くなった大学生・大和 晃さんの家族の8年半を追ったドキュメント。
改めて放送します。


9月16日、阿蘇市にある田んぼでは稲刈りが行われていました。

【大和 忍さん】
「主人が一番気にしていた稲刈りだったので、きっと安心していると思う」

田んぼには稲刈りを見守るかのように、一人の男性の遺影が置いてありました。

大和 卓也さん。

9月4日に入院先の病院で亡くなりました。

卓也さんの次男・晃さんは、熊本地震の本震で南阿蘇村の阿蘇大橋付近で起きた大規模な土砂崩れに巻き込まれ、行方不明となりました。

晃さんは前震で被災した熊本市の友人に水などを届け、実家の田植えを手伝いに戻る途中でした。

熊本県は二次災害の恐れがあるとして捜索を打ち切りましたが、両親は友人などの力を借りて探し続けました。

そして、2人が見つけた手掛かりをきっかけに熊本県を動かし、晃さんを家に連れて帰ることができました。

卓也さんは晃さんが見つかった後も学校などで講演を行い、家族の絆や命の大切さを
伝えました。

また、熊本地震が風化しないようにと報道陣の取材にも対応しながら亡き息子への思いを伝え続けてきました。

そんな卓也さんが大切にしていたのが晃さんが亡くなる前にモミまきを手伝い収穫された米です。

晃さんがモミまきを手伝った苗は稲に育ち、黄金色に実った稲穂から両親は種モミを作りました。

この8年、晃さんが縁で出会った様々の人たちの手を借りて、息子の生きた証しとしてつないでいます。

【大和 卓也さん】
「(田植えが)終わってホッとした。まずは植え付けができて一安心。あとは水の管理をしながら米が育って実ってくれて収獲となったときに安心するが、まずは一安心」

【大和 忍さん】
「(体が)つらい中でも田んぼの様子を見に行っていたし、入院してから稲刈りの時期が近づいてくると(田んぼは)どうなっているか、(稲刈りを)どうするかと…」

【メッセージ】
「台風きましたが、晃くんのお米、大丈夫でしたか?」
「なんとか被害なく済みました。ありがとうございます」

卓也さんとTKUの記者とやり取りしたメッセージ、このやりとりの2日後に卓也さんは亡くなりました。

ことしも『晃さんの米』は無事に育ちました。

稲刈りに卓也さんの姿はありませんが、家族や友人、晃さんが引き合わせてくれた
人たちの手を借りて行われました。

【友人 園田 浩文さん】
「本人も稲刈りを楽しみにしていた。空の上からみんな頑張っているなと見ていると思う」

【小学生のときに交流があった小田 恵史さん】
「みんなで最後に刈りたいと思い参加しました」

【大和 忍さん】
「いろんな人の手を借りて無事に収獲できて、つなげられたかな」

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