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熊本を代表する伝統工芸品『肥後象がん』学生のアイデアが新たな商品に

熊本の伝統工芸品・肥後象がんの販路拡大を目指し、県外の学生たちが新たな商品を開発しました。

完成した商品は〈若者〉ならではのアクセサリー。26日から大阪の百貨店で販売される予定です。

【大学で工芸を専攻 村上 穂香 さん】
「好きな肥後象がんの商品開発があるから応募した」

熊本を代表する伝統工芸品の一つ『肥後象がん』。

主に、鉄の地金に純金や純銀をはめ込みさまざまな文様や絵柄を描き出す工芸品です。

約400年前の江戸時代に熊本に伝わり、刀のつばなど武具の装飾技術として発達しました。

去年9月、この肥後象がんの技術を生かした新たな商品開発の試みが熊本市で始まりました。

【参加した学生 清水 優美 さん】
「就職活動の一環として商品開発に興味がある。マーケティングの分野にすごく興味があったので商品開発に携わりたいと思い応募した」

肥後象がんの販路拡大を目指し、熊本市が初めて企画した商品開発インターンシップです。

全国から選ばれた県外在住の学生6人が、若者の視点で今の時代に合った商品のアイデアを提案し、それを肥後象がんの工芸家が実際に商品化します。

【参加した学生 増井 千花 さん】
「金と銀と黒というシンプルな色から日本の趣や<わび・さび>が見えたり、空白にも美しさがあるという魅力」

インターンシップ初日、参加した6人は肥後象がんのペンダントやキーホルダー作りを体験しました。

講師を務めるのは肥後象がん士の稲田 憲太郎 さん。

熊本県出身で、19歳の時にこの道に入り、約30年にわたって肥後象がんを作り続けています。

【肥後象がん士 稲田 憲太郎 さん】
「僕とは違う感性を(学生たちは)持っていると思うので、いろんな意見を出してもらって、何か面白いものができたらいいなという期待でいっぱい」

6人は、稲田さんから肥後象がんの歴史や技法などを学び、それを新たな商品開発につなげます。

【参加した学生 北村 千江 さん】
「みんなの意見や、稲田さんのイメージを加味して売れる商品を作れたら」

インターンシップ最終日の3日目。

6人はそれぞれ体験などを通して出てきた商品のアイデアを披露しました。

【村上 穂香 さんのプレゼン】
「私が考えたのは、旺来肥後象嵌(おんらいひごぞうがん)。台湾で幸運をもたらす、幸せを呼ぶという意味」
「私が台湾に行ったときにどんなものを買いたいかなと思ったら、日本とか熊本とか地元の物があると目を引くと思う」

会場には、学生たちのアイデアから生まれた新たな商品の販売を考えている大阪にある百貨店『阪急うめだ本店』の担当者も参加。

『売れる商品』という目線で必要なアドバイスを送りました。

【清水 優美 さんのプレゼンの様子】
「私が考えたプロダクト(商品)はMINIHIGOというプロダクトになっている。このネーミングの由来は、MINI(みに)が身に着けるの<みに>と小さいの<みに>の2つの<みに>を持っていて、HIGO(ひご)が肥後象がんの<ひご>と日頃からの<ひご>から取ってネーミングとして採用した」

【阪急うめだ本店 黒坂 航平 さん】
「キャッチーなMINIHIGO(ミニヒゴ)、キャッチコピーは売れる要素として重要なポイント」

【野田 薫 さんのプレゼン】
「肥後象がんネイルリング。キャッチコピーとして『400年の美を現在の指先に』。肥後象がんで作るメリットはネイルリングの市場に出回っている商品がシルバーなどで作られていて、金属だから肥後象がんが金属製という良さを生かせること」

【アドバイザー 山崎 彰悟 さん】
「ここ数年で一番、完成度が高い。やらない理由を見つける方が難しい」

プレゼンを見守った肥後象がん士の稲田さんが最終的に商品化するアイデアを決めました。

【肥後象がん士 稲田 憲太郎 さん】
「最初に作りたいと思ったのはネイルリング。今までに肥後象がんではもちろん金属工芸の枠内でも作った人を知らない」

野田 薫 さんが提案したネイルリングを商品化することになりました。

【ネイルリングを提案した 野田 薫 さん】
「何年も前から考えていたことだったから、アイデアを出して、実現にまでいく可能性があるということが信じられない気持ちでいっぱい。肥後象がんの伝統の新たな1ページを刻めたらいいなと思っている」

商品化決定から約5カ月がたった先週の木曜日。

肥後象がん士の稲田さんはネイルリングの商品化に向け、大詰めの作業を行っていました。

【肥後象がん士 稲田 憲太郎 さん】
「400年、守られてきた技術と新しい学生たちの感覚の融合だから初めてみる人にも楽しんでもらえるのではないか。そもそも(肥後象がんを)作る人が減ってきているのと売り場も減っているのではないか。今回のプロジェクトを通じて肥後象がんを知ってもらえたり、楽しんでもらえるきっかけになると思う。阪急うめだでの出会いが楽しみ」

ネイルリングは『Neor(ネオール)』というブランド名で販売。

『Neor(ネオール)』とは、イタリア語の『黒』と『金』を掛け合わせた言葉です。

ネイルリングのデザインは全部で3種類。

古木紋様や桜、キンモクセイが描かれています。

それぞれ金・銀・プラチナを使っていて、使った金属によって価格が違います。

学生のアイデアによって新たに生み出された肥後象がんのネイルリング。

大阪の百貨店『阪急うめだ本店』で26日から3月3日まで販売されるということです。

【スタジオあとコメ】

このネイルリングは受注販売だということで、稲田さんは『インスタグラム』で注文を受け付けているということです。

大阪に行かなくても購入可能です。

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