JASM第1工場本格稼働後の地下水位や排水の水質「変化なし」【熊本】
去年12月に本格稼働したTSMCの子会社JASMの第1工場をめぐり、心配される地下水位や排水の水質について、県は27日、いずれも稼働前後で変化は見られないと明らかにしました。また、県は阿蘇地域の地下水涵養を進めるため新たな基金を創る方針です。
熊本県は27日地下水保全推進本部会議を開き、地下水に関する各部局の取り組み状況などを報告しました。
県は現在、セミコンテクノパーク内と熊本市内の2カ所の観測井戸で測定した地下水位をリアルタイムで発信していて、JASMの第1工場が本格稼働した去年12月以降、2カ所の井戸ともに現状で地下水位に大きな変化は見られないとしています。
一方、工場からの排水を処理する熊本北部浄化センターの水質データでも水質汚濁防止法に定められた43項目全てで基準値以下となり、県独自で検査しているPFOS、PFOAといった有機フッ素化合物の値も国の指針値を下回り、「稼働前後で変化は見られない」と明らかにしました。
【木村知事】
「非常にいい報告が県民にできた。しかし、これからも工場が増えていく可能性もあるし、また影響が後から出てくる可能性がないわけではない。しっかりこれからも分析を続けて県民に向けた情報を的確に発信していきたい」
また県は、阿蘇地域の地下水涵養を進めるため、企業や自治体、住民などからの
寄付を原資とする新たな基金を創設すると発表。野焼きや防火帯づくりなど、草原を維持して阿蘇の地下水を守る活動に使用するとしています。
県は、1万円の寄付でおよそ1600平方メートルの草原が保全され、およそ4000立方メートルの水源涵養効果が得られると想定。
これらを基に、寄付した自治体や企業などに保全できた草原の面積と地下水涵養効果を記載した『貢献証書』を発行し、イメージアップに活用してもらいたいとしています。
寄付の受け付けは来年度前半にスタートし、2026年度から本格運用を目指すということです。