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陸自第8師団ヘリ墜落 事故調査委員会「2基のエンジンがなぜ出力低下したかは特定できず」【熊本】

去年4月、沖縄県・宮古島沖で熊本市に司令部を置く陸上自衛隊第8師団のヘリが墜落し、複数の幹部を含む隊員10人が死亡した事故の続報です。陸上自衛隊の航空事故調査委員会は事故の原因を「2基のエンジンの出力低下」とし、「なぜ出力が低下したかは特定できなかった」とする調査結果を14日、公表しました。

【森下 泰臣 陸上幕僚長】
「第2エンジンの出力が緩やかに低下し出力を喪失したあと、引き続き第1エンジンの出力も低下するこれまで報告事例のない事象が発生し、高度保持が困難となり墜落したと結論づけた」

去年4月6日午後、沖縄県・宮古島沖を偵察飛行中だった陸上自衛隊第8師団のヘリコプターUH-60JAの機影がレーダーから消えました。

北熊本駐屯地に司令部を置き、南九州3県や南西諸島の防衛を担う第8師団。益城町の高遊原分屯地にある第8飛行隊所属のヘリには、師団長の坂本 雄一 陸将など8人の幹部自衛官を含む10人が搭乗していました。

離陸から約10分後に通信が途絶えたヘリからは緊急事態を知らせる信号もなく、その後、機体の一部が海上で発見されました。熊本に着任したばかりの坂本師団長は初めての九州勤務。熊本の印象をこう語っていました。

【坂本 雄一 陸将】
「熊本の印象は一言で言うと『熱い』ところだなと。地域に惚れて隊務をしていきたい」

【熊本 竜太アナウンサーリポート】
「宮古島に隣接する伊良部島です。ヘリが消息を絶った現場に近い漁港が捜索の拠点となっています。福岡の部隊も沿岸部の捜索に当たっています」

宮古島沖では、九州各地の部隊が連日、仲間の消息の手がかりを探し続け、その後、水深約100メートルの地点で機体と隊員が発見されました。

5月31日までに、自衛隊は行方不明者を含む10人の死亡を発表。坂本師団長の後任には、2016年に健軍駐屯地で熊本地震の指揮も執った青木 伸一 師団長が着任しました。

【青木 伸一 第8師団長】
「私の基地の隊員の名前が上がってくる。それがショックで彼らとの思い出が目に浮かんでくる。重たい気持ちになった」

事故から間もなく1年。自衛隊は先ほど事故調査委員会の調査結果を公表しました。

最終的な調査結果のポイントは3つ。まず、事故の原因は「右側の第2エンジンの出力が緩やかに低下する『ロールバック』と呼ばれる現象が発生し、それに続いて、左側の第1エンジンの出力も低下したこと」と特定。

第2エンジンの出力低下の要因は、エンジン系統ラインの「漏れや詰まり」と推定しています。

しかし、第1エンジンの出力低下の要因は人為的なものかも含め「特定には至らなかった」としています。

自衛隊幹部によりますと、回収されたボイスレコーダーには、最後まで機長と副操縦士がなんとか高度を維持し、機体を立て直そうとするやり取りが残っていたといいます。

陸上自衛隊は今後、再発防止策を地元住民などに説明し、同じ機体の全面的な飛行再開を目指すとしています。

また、第8師団幹部は「仲間を失った隊員の心情には今も浮き沈みがある。いまだ現実を受け入れられないご遺族にも、引き続き真摯に寄り添っていきたい」と語りました。

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