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里親制度を考える 親を頼れない若者の自立を支援【熊本】

21日の特集です。里親制度についてお伝えする連続企画、今回は里親や児童養護施設で暮らす子どもの退所後の支援がテーマです。親を頼れない若者たちを社会でサポートする仕組みが県内でも動き始めています。

【耕太さん(仮名)20歳】
「ファミリーホームにいるときはファミリーホームの里親さん(ホームを)経営されている方が話を聞いてくださるんですけどやっぱり実のお子さんもいたりとか高校卒業して社会人になったら相談しづらいところもあったりして」

耕太さんは20歳、熊本市で一人暮らしをしています。

耕太さんが親と離れて生活することになったのは高校生のときでした。

熊本県内の『小規模住居型児童養育事業所・ファミリーホーム』などでおよそ2年半過ごし、高校卒業後は県外で就職しました。

【耕太さん(仮名・20歳)】
Q大学進学は考えなかった?
「考えはしたんですけど、金銭的な部分もありましたし大学の費用を誰が出すのってなる」

熊本県内では631人が児童養護施設や里親家庭などで暮らしています。

県内の高校生の大学などへの進学率は47.2%、これに対し施設などで暮らす高校生は厚労省の全国的な調査結果で20.1%にとどまっています。

【熊本県・子ども家庭福祉課 岩村 聡子課長】
「施設等を退所したあとの経済的な問題ですとか、保護者に頼ることができない状況にあったり、相談相手が乏しいこともあって仕事に就いてもなかなか続かないとか、そういう課題を抱えてしまうことも少なくないと思っています」

親以外からの養育を受けている子どもを対象に熊本県が行ったアンケートによると
進学や就職などの際、子どもたちが求めているものの上位は『お金』『住む場所』
『相談できる人や場所』です。

親を頼れない子どもの巣立ちを支える活動をしている団体があります。

【ブリッジフォースマイル 熊本事務局 尾上佳代さん】
「児童養護施設や里親家庭などで生活している方ですとかそこを巣立った若者たちが立ち寄ったり、相談したりと利用してくれています」

『認定NPO法人ブリッジフォースマイル』、2019年に熊本事務局が発足しました。

去年1月、熊本県と熊本市の委託を受け、子どもたちの施設入所中から退所後も継続して支援する事業を行っています。

その柱の一つが『かたるベースくまもと』です。

【ブリッジフォースマイル熊本事務局 尾上佳代さん】
「落ち着いて羽を休めるような居場所になったらいいなということでスタッフ一同
あたたかくみんなを迎え入れている状況です」

かたるベースは熊本市中心部のビルの一角で週2日オープン。

普通の家のリビングのようなこの部屋は、施設などで生活する子ども、または退所し社会に出て間もない若者などが来て一緒に食事をしたり時には悩みを打ち明けたりできる交流の場です。

【かたるベース利用者(18歳・里親家庭で生活)】
「ストレス発散もできるし週末とか週初めへの気持ちの切り替えにちょうどいい場所かなと思います」

耕太さんもかたるベースに足を運ぶ1人です。

【耕太さん(仮名・20歳)】
「佳代さんとか、かたべ(=かたるベース)の方と会って親身に聞いてもらったりして不安が和らいだことは大きい」

親を頼ることができない若者たちの話し相手、相談相手になっているのは、尾上さんらブリッジフォースマイルの職員だけではありません。西村 浩二さんはボランティアの1人、本業はホテルマンです。

【西村浩二さん】
「ここに来て子どもたちに笑顔になって楽しかったって来てよかったって思って帰っていかれるのが一番うれしいですね」

ここでは様々な業界で働く社会人およそ30人がボランティアでサポーターとして登録、若者たちに寄り添いながら成長を支えています。

【6月18日・キャリア準備講座】
「好きなことを仕事にしたい、好きじゃないけれど得意なことでほめられたい、皆さんだったらどっちの仕事がいいですか?」

これは6月オンラインで開かれたキャリア準備講座です。

熊本を含む全国のサポーターと施設などで暮らす中高生を結びサポーターが自分の経験を交え子どもたちの質問に答えました。

【ブリッジフォースマイル熊本事務局 尾上佳代さん】
「将来についてとか、自分自身を知るきっかけ、自己理解に少しでもつながるようにそんな機会になればと思って」

また施設などを退所し自立を目指す若者へは、行政などと連携し一人一人に合った支援制度につないだり、独自のネットワークで住まい探しや一人暮らしの準備をサポートするなどしています。

【耕太さん(仮名)20歳】
「キャリアコンサルタントの方とかたべのつながりで話したりしてハローワークにもなかなか行き慣れないと行きづらいので、一緒について行ってもらったりして、県の再就職支援プログラムに入ってそこから今の会社に(入社した)」

耕太さんは今、毎月の給料の中から少しずつ貯金をし、自らの人生を歩み始めています。

【耕太さん(仮名)20歳】
「自分、けっこう小さいときは人が怖かったんですよ。人間はみんな敵みたいな、
鬱屈としてる、下を向いてる少年だったんですけど自己開示ができるというか人を信じられるようにはなってきたかもしれない。段階を踏んで落ちたり上がったりしながら」

『かたるベースくまもと』は毎週金曜日と日曜日に開設、施設などに暮らす学生、または退所した若者の利用を歓迎しています。

そして若者たちを一緒に応援してくれる社会人サポーターも募集中です。

【ブリッジフォースマイル熊本事務局 尾上佳代さん】
「若者たちが社会に巣立って一歩ずつ歩みを進める中で応援団、安心の仲間をもっと増やしていけたらと思っています」

親を頼れない子どもの成長を応援する仕組みが県内でも動き出しています。

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