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豪雨で被災の肥薩線 鉄道で復旧合意 熊本県とJR九州

2020年7月の豪雨で被災し一部区間で運休が続いているJR九州の肥薩線についてです。熊本県とJR九州は3日、鉄道での復旧で基本合意しました。

JR肥薩線は2020年7月豪雨で橋や線路が流されるなど甚大な被害を受けいまなお、八代ー吉松間が運休しています。

国と熊本県、JR九州の3者はおととし3月から復旧に向けた検討会議を開催。

これまでの議論で「JR九州過去最大」といわれる約235億円の復旧費と復旧後の持続可能性が課題となっていました。

去年12月に熊本県が復旧費の約9割を国と県が負担し、『観光』を柱とした復興方針案を提示。ことし2月にJR九州が「『観光』だけではなく『日常利用』の2本柱で考える必要がある」と意見を述べていました。

【熊本県 田嶋 徹 副知事】
「JR九州には、我々の肥薩線にかける強い思い、そして、将来に向けた持続可能性のある鉄道の私たちの提案をしっかりと受け止め決断してほしい」

3日の会議は非公開で行われ、熊本県は、県や地元の12市町村の職員の移動で肥薩線を優先的に使うことや駅周辺のバスやタクシーなどの2次交通の拡充など日常利用案を示したということです。

【JR九州 松下 琢磨 総合企画本部長】
「日常利用について熊本県や地域の皆さまの考えを示していただいた。私どもとしてはこれに納得し、肥薩線を鉄道で復旧させることについてその方向性について合意させていただいた」

JR九州によりますと、3月中旬に古宮 洋二 社長が熊本県庁を訪れ、蒲島知事とトップ同士の対談を行い肥薩線の鉄道復旧への課題を整理。

3日、熊本県からの日常利用案を受け、八代-人吉間の鉄道での復旧で基本合意しました。

今後、復興方針案にある観光対策や日常利用策について、熊本県とJR九州で具体化して今年度中の最終合意を目指しています。

今回の基本合意を受けての反応です。

【松岡 隼人 人吉市長】
「沿線自治体と共に鉄路での復旧をお願いしてきたが、今回、大きく一歩前進したことは喜ばしいこと。復興は、災害で途切れたものを紡ぎ直すこと。基本合意はまさに復興への一歩につながる」

【人吉市民】
「うれしいです」
「また電車が見られるので通ってくれるとうれしいが、その後、市民が利用するかにかかっていると思う」

【人吉市民】
「せっかく立て直してもらっても利用しないなら市民に負担がくるので、何かのときには利用するように心がけると役立つと思う」

【蒲島知事】
「どうにか、球磨川流域の皆さまをはじめ、県民との約束を果たすことができて
とても安堵している」

鉄道での復旧が合意に至ったJR肥薩線について整理します。

2020年の豪雨で被災したJR肥薩線はこちら。八代駅から鹿児島・吉松駅の間のおよそ87キロで、今なお運休が続いています。

課題の一つとなっていた復旧費については総額約235億円のうち9割を国と熊本県が負担。

JR九州は1割に当たる25億3000万円の負担となりました。

合意の裏には復旧費の問題に加え、もう一つ復旧後の持続可能性が課題として残されていました。

このため、熊本県は『観光』を柱とした復興方針案を提案しましたがこれについてJR九州は『日常利用』も考えてほしいとしていました。

鉄道での復旧へ、最終的なカギは『観光』と『日常利用』の両立。

これをめぐって、3月、JR九州の古宮社長と蒲島知事の会談が行われていました。

その場で、蒲島知事が『日常利用』について固い決意を示したということです。

県は3日、その取り組みを明らかにしました。

まず「塊より始めよ」で、県庁職員が「出張はまず肥薩線」として積極的に利用する、そして住民などへの喚起策として「グループでの利用運賃に対する助成」など複数の具体策を出しています。

JR九州は3日、会見で「観光と日常利用、その施策を県が示したことで合意へ向け一定のめどが立った」と語りました。

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