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熊本地震から8年「いつになれば安住の地に・・・」 益城町のいま

熊本地震から8年。震度7の揺れが2度襲った益城町では、復興が進み、町の様子が変化し続けています。益城町のいまを取材しました。

【小嶺 隆さん】
「ここまで道路が来ます、県道が」

益城町木山に住む小嶺 隆さん74歳です。

熊本地震後、家を再建しましたが、この自宅を壊し、再び建て直すことが決まっています。

小嶺さんは『4車線化』と『土地区画整理』両方の影響を受ける住民の一人です。

~場面転換~

いま益城町で進む県道熊本高森線の4車線化事業。

去年3月に熊本市側の一部区間で供用が始まり、おととい(今月14日)からは新たに600メートル延びて、総延長3.8キロのうち約1.6キロが4車線化されています。

そもそもこの4車線化事業は、2016年の熊本地震発生当時、道路沿線の家屋などが倒壊し、緊急車両の通行などに支障が出たことから進められています。

熊本県によりますと、用地取得状況は地権者270人のうち268人とは契約が済み、残る2人についても前向きな回答を得ているということで、事業完了は来年度中となる見込みです。

そして、この事業と並行して行われているのが、土地区画整理事業です。

益城町役場がある町の中心部・木山地区を町の都市拠点として復興させるために行うもので、約28.3ヘクタールが対象です。

この区画整理は益城町の要請を受けて県が行っているもので、県道の4車線化のような用地買収とは違い、『減歩』つまり土地の所有者らが少しずつ提供する形で行われ、道路の拡幅や公園の整備など『災害に強い街づくり』のため行われます。

この事業が進む地域に住みながら模型店を営んできた小嶺 隆さん。

被災後は仮設商店街で店を継続してきました。

自宅は2018年の夏、元の土地に再建。地震から10カ月がたった2017年2月に4車線化の都市計画が決定したため、小嶺さんは、県道から約15メートルほど奥に建て直しました。

しかし…。

「この区画整理でまた建て直さなんとです」再建後に区画整理の事業計画が決定し、庭の大半に新たな道路が通ることが分かったといいます。

(窓を開けてすぐ目の前が道路)「ここが道路。車が行ったり来たりする。そして家全体が(東側に)4メートル、こっちに移動する」

「『うちは道路は通さなくていい』と言っても『これは決まったことだから』と。

『どうしても道路を通します』と」現在、小嶺さんは事業を了承し、自宅を再び建て直すことになっています。

今後掛かる建築費や引っ越し費用などは県が適切な補償をするといいますが、それでも荷造りをしたり仮住まいをしたり…。

その精神的、肉体的な負担は決して軽くはありません。

また自宅の「再」再建の時期など今後の見通しについてまだ具体的な話は聞いていないといいます。

「何度家を替わるのか、引っ越しをなんべんせなんですか?くたびれました。もう8年たってまだ安住の地がない、我々は。これで終わりですよ、というのがない。また建て直さないといけない。疲れる」

こうした声に、事業を進める熊本県は。

【益城復興事務所 奥村 知明 所長】
「丁寧な説明をし、事業の必要性をしっかり理解していただいて、また県としては訪問をして時間の経過とともに変わる意向を聞いて県と町でできるかぎりの提案をして事業へ理解をしていただけるよう努める」

県では、地権者への説明を重ね、仮換地指定を受けたのは467画地のうち3月までに430画地。

初めて9割を超え、一部で住宅の再建が進みますが、まだ「調整中」とする人が15人います。

県は事業完了を2027年度の予定としていて、今後も丁寧な説明を続けていく方針です。

熊本地震から8年。町に住み続けたいと願う人全員が安心して暮らせるまでにはまだ時間がかかります。

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