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本格的な解体工事の開始から3カ月 熊本城宇土櫓の今【熊本】

熊本地震で櫓が傾くなどの被害が出て建物をすべて解体したうえで再建される熊本城宇土櫓。本格的な解体工事の開始から3カ月が経過しました。今回、一般には公開されていない櫓3階以上の工事エリアにカメラが入りました。

【堂前 泉紀記者リポート】
「宇土櫓素屋根内部の特別公開が始まりました。このように崩れた瓦や壁など、
熊本地震の爪痕が色濃く残っています」

熊本地震の前震から8年となった今週日曜、宇土櫓を覆う素屋根内部の特別公開が始まりました。

公開日は毎月第2日曜日を基本とし、五階櫓の1階と2階部分に隣接する工事用の足場から変わりゆく宇土櫓の様子を間近に見ることができます。
【来場者】
「一つ一つの瓦が太くて、間隔が短いのはすごいな、城はやはり違うなと思う」
「(熊本地震から)8年でまだこんな状態なんだなとちょっとびっくりした。まだまだ先が長いなと思った」

創建当時の姿をとどめ、国の重要文化財に指定されている宇土櫓。

2016年の熊本地震で隣接する続櫓が倒壊したほか、柱や床が傾むくなどの被害が出ました。

そして熊本市は昭和2年以来、およそ100年ぶりとなる「全解体」での修復を決め、年明けから本格的な解体工事が行われていました。

先週水曜日、私たちは、さらに工事が進む3階以上の様子を見せてもらいました。
【熊本城総合事務所復旧整備課 岩佐 康弘 課長】
「こちらが現在の宇土櫓です。前回(去年12月の報道公開)の姿からすると、全然違う姿が見えていると思います。一番上が五階部分、竹で組まれている部分が四階部分です。その下が瓦を外したところなんですけど、この宇土櫓は三層五階櫓で、今二層目の瓦を取った状態です」

【郡司琢哉アナウンサー】
「そうすると、いずれは(瓦を)はがすエリアは下りていくイメージですかね?」

【岩佐課長】
「そうです。どんどんどんどん下がっていくと」

最上階の5階部分はすでに柱や梁といった軸組だけの状態になっていて4階以下も
いずれはこうした姿になる予定です。
【郡司アナ】
「職人さんが作業をされていますけれども、これはどういった作業をされているんですか?」
【岩佐課長】
「瓦を外しまして漆喰で瓦は止めてあるんです。瓦に漆喰が付いていますので、まずそれを取り外す作業。そして、それが終わったら今度は打診をしているんですけど、
今後使えるかどうか。例えば、ひびが入っていたりすると音が違うんですよ。
その音を聞き分けながら仕分けをしていると」

一方、同じフロアにはこんな場所もありました。
【岩佐課長】
「解体した部材はきちんと整理整頓してこれがどこに使われていたか分かるように作業しています」
【郡司アナ】
「整頓されているのがこちらですか。もうこれだけの部材を外したわけですね」
【岩佐課長】
「そうですね。これが今後、ここがびっしり埋まるほどの量になっていく予定ですね」

外された部材は元々どの部分に使われていたかを記し再建の時を待ちます。

カメラはさらに最上階へ。

【郡司アナ】&【岩佐課長】
「うわ、全然違いますね」「見えているのが宇土櫓の最上階5階部分になります」
「見てみますと、軸組になっている梁の部分も傷み具合というか、きれいさに差があるように見えるんですけど」
「こちらの方は直近で言いますと、昭和60年から平成2年にかけて大規模な解体修理を行っています。4階5階部分ですね。その時にどうしても使えない部材は新しい部材に置き換えるなどして組み立てていますので、実際横の梁なんかは新しいなとすぐ分かる状態です」

こうした過去の修理の痕跡がひと目で分かるのも今だけ。

仮に今回の再建工事で新しい部材が使われれば、そこには「令和」の焼き印が入れられる予定です。


【熊本城総合事務所復旧整備課 岩佐 康弘 課長】
「この宇土櫓、重要文化財ですけど、今から約9年かけて復旧していくわけなんですけど、その間はどんどん姿が変わっていきます。そういった姿も貴重な財産ですので、多くの方に見ていただきたいという思いですね」
宇土櫓の復旧完了は2032年度の予定。

再建に向けた道のりは始まったばかりです。





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