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自らの命を犠牲にして台湾の若者たちを守った弁護士・湯 徳章を知っていますか【熊本】

熊本にルーツを持ち、太平洋戦争直後、自らの命を犠牲にして台湾の若者たちを守った弁護士・湯 徳章をご存じでしょうか? この湯 徳章にゆかりのある宇土市など熊本県内3つの自治体の関係者が先日、台湾の台南市を訪問しました。

【2022年10月/映画撮影の様子】

おととし10月、宇土市で行われたドキュメンタリー映画の撮影の様子です。

撮影チームは台湾からやって来ました。宇土市出身の日本人の父と台湾人の母の間に生まれ、弁護士となった湯 徳章は太平洋戦争後、台湾を治めた中国・国民党軍の弾圧に反発する若者たちを説得。

国民党軍による1947年の二・二八事件で、台南市の指導的立場にあった湯 弁護士は拘束されたのち銃殺されました。

自らの命を犠牲に多くの若者たちの命を救ったとして台南市は、命日の3月13日を『正義と勇気の記念日』に制定するなど現在も「英雄」として称えています。

この弁護士・湯 徳章のドキュメンタリー映画を製作する黄 銘正 監督や、湯 弁護士の孫の湯 雅清さんなどが撮影の合間に宇土市役所を訪れました。

【宇土市 元松 茂樹 市長】
「徳章さんの父は宇土で生まれ育って台湾で命を亡くされていますが、そういう方々、歴史があって今があると思うと感慨深い」

【映画のプロデューサー レンチェンフェイさん】
「台湾の近代史や、台湾と日本の絆を見られるようにしたい。湯徳章さんも喜ぶと思う」

黄 監督たち撮影チームは湯 徳章の父、坂井 徳蔵の出身地である宇土市で坂井家の戸籍を調査。宇土市本町の醤油店には、坂井家から譲り受けたという家屋や蔵があり、そこでも撮影するなど熊本でのロケは順調に進みました。

【黄 銘正 監督】
「湯徳章の話は物語性がすごく高い。今の台湾は、日本また中国からの影響も深い状況で、湯徳章のことをもう一度見ることであの時代の出来事からたくさん生きるヒントがもらえると思う。湯徳章の物語(を知ること)は今の台湾人にとってもこれからどういう道を歩けるかを感じることができる」

そして、3月13日、湯 徳章にゆかりのある宇土市、宇城市、美里町の関係者ら40人が湯 徳章の命日である『正義と勇気の記念日』にあわせて、台南市を訪れました。

訪問団は記念式典に参加し、代表して宇土市の元松 茂樹 市長が「記念式典参加を切望していた。今後は徳章さんを架け橋として交流を深めたい」と挨拶しました。

そして、台南市の黄 偉哲 市長のもとを訪問。宇土市でも撮影が行われたドキュメンタリー映画を観賞しました。
    
一行は今回の訪問で、湯 徳章が結ぶ縁を今後の観光や商業にも広げようと現地の旅行代理店と意見を交わし、商業団体と覚書などを結びました。

宇土市などは湯 徳章の先祖の墓地などゆかりの地を整備し、インバウンドや企業誘致につなげていけたらとしています。

台湾の半導体製造大手TSMCの熊本進出などで熊本と台湾の距離がこれまで以上に密接となる中、先人について学ぶこともより深い交流につながりそうです。

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