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防災システム研究所の山村 武彦 所長と能登半島地震の被災地へ【第1回】地震への備え

能登半島地震から間もなく4カ月です。TKUの記者が防災システム研究所の山村 武彦所長と一緒に地震で甚大な被害を受けた石川県内を取材しました。熊本地震から8年を迎えた今、改めて地震への備えについて考えます。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「正月の元日にまさかの大地震、大地震は時と所を選ばず起き得るという認識を改めて能登半島地震で皆さんが学ぶべきこと」

【TKU有田和令記者】
「まだ手付かずの被災家屋が多いですね」
【防災システム研究所・山村武彦所長】
「3カ月たっても、あまり応急復旧が行き届いていない」

防災システム研究所の山村 武彦所長です。

国内外の災害現場で調査を行い、防災意識の啓発に取り組んでいます。

TKUは4月上旬、山村さんと一緒に能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県内を回りました。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「結構古い家が多い。雪には強いけれども地震には弱いという造りの家が多い」

こちらは震度7の揺れを観測した志賀町の中で多くの家屋が被害を受けた富来地区です。※志賀町富来領家町※
山村さんは「熊本地震と同じような揺れが家屋の被害を大きくした」と指摘します。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「室内の壊れた部分、障子の破れ方を見ると、ものすごい揺れ方、激しい小刻みな揺れ、熊本地震と同じような『キラーパルス』と言われるような周期の揺れが襲った可能性がある」

『キラーパルス』とは揺れの周期が1秒から2秒程度の地震動のこと。

木造住宅に大きなダメージを与えるとされていて、8年前の熊本地震でも益城町周辺で観測されています。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「とくに耐震基準が2000年基準の前の建物、あるいは1980年以前の建物は
耐震性が低い。そういった建物が多くつぶれている」

この地区で長年、暮らしてきた東 澄江さん86歳です。

【東 澄江さん(86)】
「ものすごく揺れた。そしたら私の近くに屋根が落ちてきた。でも死なずに済んだ…」

地震発生当時、1階にいた東さん。1階部分がつぶれましたが隙間から何とか抜け出し避難しました。
現在は、仮設住宅で生活しています。

【東 澄江さん(86)】
「仮設住宅に入って入居期間の2年間どうするか考えて自宅が再建できなかったら
施設に行こうかなと。子供に迷惑を掛けたくないから」
【防災システム研究所・山村武彦所長】
「不自由な生活が続きますが…」
【東 澄江さん(86)】
「頑張ります、前を向いて」

続いて、訪れたのは金沢市に隣接する内灘町。

能登半島地震の震源域から100キロ余り離れたこの町では震度5弱の揺れを観測しました。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「震度5弱でそれほど大きな揺れではない。建物被害はガラスがほとんど割れていない。地盤が液状化して建物が傾いたり、沈んだり、浮き上がったりしている」
液状化は、地震の揺れで地盤が液状になり、道路や建物が沈下したり隆起したりする現象。

水道などライフラインもダメージを受けるため避難が長期化するとされています。
熊本地震でも熊本市南区などで液状化現象による被害が確認されています。

この日、訪れた西荒屋地区では至る所で道路が波打ち、電柱や標識が倒れかかっていました。また、住宅の被害も深刻で多くの住宅が基礎ごと大きく傾いていました。

山村さんは「自治体が出しているハザードマップで液状化のリスクを把握し地盤を補強するなど事前の備えが大事だ」と指摘します。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「インフラが長期に途絶える可能性が高いという場所に住んでいるとの認識を持って
普段よりも備蓄量を増やしていくことが大事」

能登半島地震からの教訓について、山村さんは…。

【防災システム研究所・山村武彦所長】
「いつでもどこでも地震災害は起こりうる。水害も含めて。地域のあったリスクに対する備えが必要になってくる」

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