担当 : 水上清乃

特別講師:「株式会社林田直樹建築デザイン事務所」林田直樹さん

「地震に強い家を理解する!」


今回の「知っ得!?火曜塾」特別講師は、建築士会理事 林田直樹さんです。林田直樹さんの簡単なプロフィールの紹介です。大手ハウスメーカー勤務、地元設計事務所勤務後に独立して、株式会社林田直樹建築デザイン事務所を設立。熊本県建築士会理事と公益社団法人日本建築家協会熊本地域会長を務めている。2012年に1級建築士を取得。


「家」について学んでいきますけど、皆さんの「家」の悩みってありますか?では早速皆さんの悩みを解決していただきましょう!

ではまず最初は
『約30年前と現在の家の違いとは!?』

木造に限った話ですが、やはり金物が違います。2000年以降の建物は、地震時に柱が土台から離れないように、また柱と梁が離れないように金物を使用するようになりました。また、地震で作用する水平力に対抗するための耐力壁を偏りなく配置するようになりました。構造用合板を床や屋根に使用して面で強くする事も最近では取り入れてます。
こちらの写真を見てください!
1.基盤と柱をつなぐ金物で地震の揺れで柱が抜けないようにしています。
2.柱と梁をつなぐ金物で地震の揺れで柱と梁が離れないようにしている。

『今建っている家の耐震性の強化について』

耐震を強化する前に、耐震診断や専門家を呼んで進めていきます。そして、工事の場合全面的に工事もできますし、部分的に工事もできます!
工事は4つの工事の仕方があります。
・壁の増設です。
外壁やクロスの下地に耐震壁を設置し耐震性を高める工事です。
・基礎の補修です。
基礎を打ち増ししたり、ひび割れを補強したりして強度を上げる工事。
・屋根の強化です。
特に、昔の家は瓦など使われています。しかし、軽い素材に変えることによって建物にかかる負担を軽減できます。
・金具の設置です。
耐震性を高めるには耐震金具を設置し、建物を構造する土台や柱などが交わる部分に設置することで強度を補強できます。
※築年数が40年ほどたっている家は一度診断など受けるのをおススメします。


『二階建て・平屋はどっちがいい!?』

はい。敷地の条件によって異なってくるので私共からはどちらがいいとは断言できません。でも、二階建て、平屋の良いところがあります。まず、「二階建て」なのですが、
・二階建ては、水害が想定される地域の場合は、二階に避難できるため平屋よりは安全です。
・耐震性単体で言えば平屋の方が安全ですが、2階建てでも適正な構造設計を行えば平屋と同等の耐震性を確保できます。何より土地の広さが平屋より必要ない事がメリットです。
でも、良いところばかりではございません。デメリットもございます。
・耐震性に配慮してない建物であれば、平屋に比べて建物は重いため地震の揺れを受けやすくなります。また高さもあるため風圧の影響を受けやすくなります。
・また、古い建物であれば二階がある分かかっている重量があるため、地震時には、重さに耐えきれずに倒壊する危険性が平屋に比べてあります。(もし屋根が瓦だった場合は重量に負け瓦ごと落ちてく可能性がある)
次は、「平屋」についてです。
・平屋は地震時にすぐに外に避難できるため安全です。また、重さが二階建てに比べて軽いため耐力壁の量が2階建より少なくて良いため(広い窓を大きく多く確保できる)
しかし、平屋にもデメリットもあります。2階建てと逆で、水害時には2階に避難する事ができません。
結論、耐震性だけを考慮すると平屋が良いが、他の災害や敷地の状況、コストを考慮して検討を行って決定する必要があります。


ここで、余談なのですが、よく聞くのが、
「もし地震が起きた場合浴室等に逃げると安全?」
柱や壁が多い小さい空間は、大きい空間に比べると安全だが、そこに逃げ込めばいいとは限りません。小さい空間だと入口が開かなかったりと避難できなくなる可能性があります。
そして、「柱の側等は三角ポイントとなって安全か?」
熊本地震の際に倒壊の可能性がある建物の場合は実際例で、三角ポイントで延命できた人が多いといわれています。しかし、柱の倒れる向き等の影響により予想できず、倒壊の恐れがあるため建物にいる場合はいち早く逃げた方が良いです。
次に、「地震の時はテーブルの下は安全か?」
地震の規模と建物によって異なります。大地震時は、テーブルの下に隠れていてもテーブルごと揺らされてしまうので危険。耐震性に優れている建物の場合は中程度の地震であれば、飛散したガラスや照明から頭などを守るためにテーブルの下に隠れるのは有効だと思います。


もし、「家」のことをもっと教えてほしいなら、(株)林田直樹建築デザイン事務所にお問い合わせください。


林田さん、ありがとうございました!


(株)林田直樹建築デザイン事務所
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